/ノルウェイの森 ”小林書店で緑が作るおばんざい”

もうすぐ映画「ノルウェイの森」も公開しますね。このあいだ、本屋さんでトレイラーが流れていました。



映画で使われている、ビートルズの”Norwegian Wood”を聴いただけで、なんだか鳥肌がたってしまった。
雪と、森と、川のシーンが、とても美しかったです。
トラン・アン・ユン監督の繊細で美しい映像世界に期待したいと思います。

「あと十分くらいでできると思うんだけど、そこで待っててくれる?待てる?」
「もちろん待てるよ」と僕は言った。
「待ちながらおなか減らしておいてよ。けっこう量あるから」
 僕は冷たいビールをすすりながら一心不乱に料理を作っている緑のうしろ姿を眺めていた。彼女は素早く器用に体を動かしながら、一度に四つくらいの料理のプロセスをこなしていた。こちらで煮ものの味見をしたかと思うと、何かをまな板の上で素早く刻み、冷蔵庫から何かを出して盛りつけ、使い終わった鍋をさっと洗った。うしろから見ているとその姿はインドの打楽器奏者を思わせた。あっちのベルを鳴らしたかと思うとこっちの板を叩き、そして水牛の骨を打ったり、という具合だ。ひとつひとつの動作が俊敏で無駄がなく、全体のバランスがすごく良かった。僕は感心してそれを眺めていた。


ノルウェイの森」に出てくるお料理といえば、やっぱり小林緑が作るお料理。
緑がワタナベに作った青豆のごはんと天ぷらは以前すでに作りましたが
今回は、初めて小林書店(緑の実家)に訪れてごちそうしてもらうお昼ごはん。
映画でもきっとこの緑がお料理を作るシーンが出てくるはず。
映画を観てしまったら、きっとそれで満足してしまって作らなくなりそうだったので、公開前に実践。

 緑の料理は僕の想像を遥かに越えて立派なものだった。鯵の酢のものに、ぼってりとしただしまき玉子、自分で作ったさわらの西京漬、なすの煮もの、じゅんさいの吸物、しめじの御飯、それにたくあんを細かくきざんで胡麻をまぶしたものがたっぷりとついていた。味つけはまったくの関西風の薄味だった。


こんなしっかりお料理ができる大学生って、すごい・・・。
なんといっても、高校生のときにどうしても玉子焼き器が欲しくて、新しいブラジャーを買うお金で玉子焼き器を買ってしまっただけある。
わたしはなんだかこのくだりがとても好きですなんです。



緑はじゅんさいのお吸物を作っているんですが、季節がら、ちょっと売っていませんでした。
でもじゅんさい、自分で扱ったことないですね。売っているところも見たことがないかも。本当に緑はすごい。
今回のポイントはきちんと出汁を取ることなのかな、と。
酢のものの三杯酢に使ったり、だしまき玉子に使ったり、なすの煮もの、しめじ御飯にも使いました。


  


鯵の酢のもの。酢のものというからには、酢〆とはちょっと違うのかな、と思い、鯵と蕪の酢のものにしてみました。
京風のお料理ってことなので、ここは蕪は「かぶら」と読みたいところ(笑)みょうがも散らして。
だしまき玉子はしっかりと出汁を取って、大根おろしを添えます。
さわらも初めて自分で西京漬にチャレンジ。西京味噌味醂と酒を入れてよく混ぜます。
あとはさわらに塗って一晩寝かせるだけ。数時間でも大丈夫です。お好みで。
味噌をある程度落として、グリルで焼きます。味噌が付いているので、焦げやすいので注意しながら。
でも味噌がいい感じに焦げたところがおいしいんです。


  


なすはあっさりと、出汁とお醤油、お酒を少々とお砂糖少々。落とし蓋をしてコトコト煮ます。
しめじ御飯は、出汁汁と、お醤油、お塩で味付け。あっさりと。それにたくあんに胡麻をたっぷりまぶしたものを添えます。
これが食感もいいアクセントになっておいしいです。


というわけで、お昼ごはんには随分と立派なご馳走です。わたしは夜ごはんに食べました。
読んだ人の数だけ、それぞれが思い描くだしまき玉子があるわけです。
映画ではどんなお料理で、どんな盛り付けになっているのか、楽しみです。


映画「ノルウェイの森」公式サイト
http://www.norway-mori.com/index.html


The Beatles - Norwegian Wood


ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

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