ひるめしのもんだい/椎名誠”望郷シーナスパゲティ”
お外でごはんを食べるのが好きです。
外食という意味ではなく(いや、それはそれで好きなのですが)
空の下で食べるごはんが、とても好きなんです。
山登り、ハイキング、ピクニック、バーベキューにお花見と
お外でごはん食べる機会を、季節を問わず、楽しみにしています。
外のごはんが好きになるきっかけのひとつは
もしかしたら、昔、観ていたテレビの番組。
たぶん日曜日の「笑っていいとも増刊号」の後にやっていた
『海ごはん山ごはん』という、5分くらいの番組で
男の子2人、女の子1人が海で、山で、
ごはんを作って食べるという、ただそれだけの番組だったのですが
それがとっても楽しそうで、おいしそうで、
わたしもこんなことしたいなあと憧れながら観ていたものでした。
そう、男の子のひとりは若かりしころの三宅弘城さんでした。
ちょっと調べてみたら、堺正人さんも出てたらしいです。知らなかった!
この間、葉山の海を見ながら「海ごはん」をしていた時、
一緒にいた友だちとこの番組のことを話して思い出しました。
かといって今回は『海ごはん山ごはん』に出ていたお料理ではなく
(実は具体的なお料理は何ひとつ覚えていなかったりします)
椎名誠さんの「ひるめしのもんだい」の”カツオブシだよ人生は”で
紹介していた「望郷シーナスパゲティ」です。
椎名誠さんはなんといってもアウトドアのイメージの方で
もう、あの日焼けした笑顔がいかにも海男、あるいは山男です。
ひところキャンプ料理で、スパゲティ料理にいたく凝り、いく日かの不屈の闘
魂によってついに「望郷シーナスパゲティ」というものを完成させた。
つくり方は簡単で、よく茹でたスパゲティを皿に盛りいきなり大量のカツオブ
シをコレでもかコレでもかと叫びつつばさばさふりかける。ついスパゲティにふ
りかけられたカツオブシはおかしなことにそこでわらわらと身をよじって踊るの
だ。数行それを眺めたのち続いてすぐにマヨネーズのチューブをサカサにし「コ
ノヤロコノヤロ」と叫びつつ、ぐにょぐにょとまんべんなくひねり落下させる。
次に「ドーダドーダ」と叫びつつショー油を注ぎ、間髪を入れず全体をごちゃご
ちゃにかきまぜて食ってしまうのだ。
(ひるめしの問題/椎名誠p.22より引用)
材料はスパゲティ、マヨネーズ、醤油、カツオブシだけという潔さ。
そして、このラインナップで、おいしくない訳が無いという
確信といってもいい期待感。愛用のバーナーも大活躍。
お外で食べるパスタは茹で時間が短くて、
短いので持ち運びしやすくて、コッヘルでも茹でやすい
はごろもフーズの「サラスパ」がおすすめです。
小声で「コレでもか!」とか「コノヤロ」とか言いつつ
カツオブシとマヨネーズと醤油を茹でたスパゲティに投下!
「ぐにゃぐにゃ」だとか「ごちゃごちゃ」だとかの擬音がかけめぐりいかにもま
ずそうだがだまれれだまれ、これが実に信じられないほどたおやかに鮮烈にまっ
たりとしてうまいったらないのだ。
(「ひるめしの問題」椎名誠p.22より引用)
このおいしさの決め手は醤油とマヨネーズだけど
その裏で密かに鍵を握るのはカツオブシだと
椎名氏はおっしゃるのですが、はい、おっしゃるとおり。
ぐにょぐにょと落下させられたマヨネーズの量にひるんだものの
茹でて混ぜただけなのに、予想以上のおいしさ。
カツオブシの風味と触感があるのと無いのでは
この料理(と言っていいものか・・・)の出来栄えを
かなり大きく左右することになると思われます。
冷蔵庫になんにもないけど、お買いものにも行きたくない時の
お助けズボラ料理にもよさそうだけど、
でも、このスパゲティのおいしさの秘訣は
やっぱりカツオブシよりも何よりも
山を登ったり海辺を歩いたりした後のはらぺこなお腹と
綺麗な青空のおかげじゃないかなあ、なんて思うのです。
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