八朔の雪/高田郁”ほっこり酒粕汁”


体が芯から冷える、本格的な冬になったころ
やっぱり食べたくなるのが粕汁
なので、大好きなみをつくし料理帖シリーズの1作目、
「八朔の雪」の”夜半の梅”で登場する酒粕汁を。
作るにあたって読み返しましたが、
何度読んでも涙なくしては読めないのです。
みをつくし料理帖で、どれだけ涙を流したことか。


この”ほっこり酒粕汁”は、辛い試練を乗り越えて
新年を迎えた澪ちゃんが作ったお料理です。

この時期、大阪では酒粕と味噌を合わせた、粕汁という汁物がよく好まれた。大根や人参、油揚げに蒟蒻などの具がたっぷり入るから腹もちも良い上に、酒粕が効いて寒い日もぽかぽかと身体が温まり、いつまでも冷めない。だが、江戸では見かけたことがなかった。
「八朔の雪」p.230より引用


酒粕は吉乃川の酒粕が売っていたので、買ってみました。
玉の光のもあって迷ったのですが、吉乃川、好きなので。



酒粕は、大根、人参、下茹でをした蒟蒻を煮ている出汁で
のばしながら滑らかになるまで擂ります。



他に具は、塩鮭、油揚げ、根深ねぎ。
酒粕と味噌、お酒とお醤油を少々。
上方ではブリなどを使うそうですが、江戸では
鮭を「年取り魚」といってお正月にはかかせないということで
澪ちゃんは鮭を使うことにしました。

「こいつは旨い。初めての味だが、酒が効いて何とも旨い」
 男の箸が鮭を捉えたのを見て、注文する声が重なって上がった。初春とは名ばかりで、底冷えのする朝だったことも幸いして、用意していた大鍋二杯分を瞬く間に売り切ってしまった。澪と芳は一旦家に戻り、夕方にまた大鍋を運んで粕汁を商なった。
「これを食った後、いつまでも身体がほかほかと温まって、まるで湯へ行ったみたいだぜ」
「八朔の雪」p.252-253より引用



ほのかにお酒の匂い、具沢山でおなかもいっぱい。
酒粕で身体も温まって、寒い冬の朝にも夜にもぴったりです。


八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫)

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みをつくし献立帖 (ハルキ文庫 た 19-9 時代小説文庫)

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