おひさまパン/エリサ・クレヴェン(作絵)・江國香織(訳) ”おひさまあじのパン”


この絵本は、大人になってから出会った本です。2003年に出版されました。
タイトルに惹かれてたまたま図書館で手にとったら、表紙のパンの絵がとってもおいしそう。
作者を見ると知らない名前だったけれど、訳は作家の江國香織さんによるものでした。
江國さんはいろいろな絵本の訳もされているし、ご自分で絵本の文も書いてらっしゃるし
そもそも、童話作家としてデビューされたのですよね。
江國さんの小説に出てくる、大人の女性のどこか少女っぽい純粋さみたいなところは
ずっと絵本を書いたり、児童文学に関わっている江國さんの感性からくるものなのかな、などと思ったりします。


さて、この絵本は、北風がびゅうびゅう吹いて、雪も降って、灰色の空の街に住む動物たちが
おうちの中でおひさまを心まちにしている中、犬のパン屋さんが、
本当のおひさまの変わりに、おひさまのパンを焼く、というおはなし。

このパンやさんも おひさまが こいしくて
たなから こなを とりだすと、
バター、おさとう、たまごに イース
「おひさまあじの とくべつパンを やきましょう」とはりきりました。
「ほんとうのおひさまは かくれたままだから
わたしがうちで、ちいさなおひさまを つくるってわけ」


今日はとても寒い日だったので、わたしもおひさまを思って、おひさまパンを焼くことにしました。
レシピはこの絵本の裏表紙に載っているので、その通りに作ってみることにしましたが…

こむぎこ カップ3ばい
インスタントドライイースト 1ふくろ(やく6グラム)
あたためたぎゅうにゅう おおさじ3ばい
たまご 3こ
さとう おおさじ3ばい
とかしたバター 1/2はこ
しお こさじ1ぱい


うわあ!バター1/2箱!そんなに!?砂糖もずいぶんたくさん。牛乳を少しで、水はなし。
これは…、どうなるんだろう…。こんなパンのレシピって作ったことない。
とっても不安になるレシピ(笑)でもここは勇気を出して絵本どおりに。



こんなにたくさんの量のバターを一度に使うのは、おそらく初めてです…。いろいろ、大丈夫かな…。


では、気を取り直して、わが家の犬のパン屋さんにご登場いただきまして、計量の続き。
まず、お砂糖大さじ3…


(あまくておいしいものですね。すこし、なめさせてください)


牛乳…


(つめたくておいしいものですよね。すこし、あじみさせてください)


わが家のシェフは味見したいばっかりで、ちっともお仕事をしてくれないのでここでご退場願いました(笑)
さて粉類を計って、とにかく混ぜます。

きじがばいくらいのおおきさになるのをめやすに、1じかんくらいおいておく。


と、あるのですが、この寒い時期、1時間ではちょっと無理ですよね。
しかも、生地に油脂が多いと膨らみにくくなるそうなので、あたたかい部屋で2時間くらいで、ようやくふっくら。



ここまできたら次は成型。目と口はスプーンの柄の部分で、とにかく深く、ぐいぐいと。
焼くとふくらんで盛り上がってきてしまったりするので、しっかり。


   


こんな感じに成型しました。シェフもご満悦!



この状態で、乾燥しないようにして、さらに1時間おいて、キラキラ輝くおひさまになるように
焼く直前にたまごの黄身を全体に塗ります。そして、220℃のオーブンで焼くこと15分。


  


ちょっとこんがりしすぎちゃったかな。だけど、完成!
焼いているときから、バターのいい匂いがふんわり漂ってきました。
心配していた目や口も、しっかり残っていました。
生地自体が、焼いてもそれほどやわらかくふわふわっとするタイプではなかったので
太陽のコロナの部分も、しっかりうずまきがわかる仕上がりになりました。
この生地なら、いろいろな形を作って焼いた後も、ふくらんで形が崩れることはないと思います。


とにかくバターがたくさん入っているので、食感はさっくり。お砂糖もたくさん入っていますが
それほど甘すぎず、絵本に書いてあったように、ハチミツやジャムをつけてもおいしそうです。
この際、カロリーのことは一度忘れて、さっくり甘いおひさまパンを楽しんじゃいましょう。
おいしくて甘くてみんなでにっこりしたら、おひさまもにっこり顔を出してくれるはず。



このエリサ・クレヴェンさんの絵は、優しくてカラフルな色合いで細かく描きこんでいる上に
レースペーパーや包装紙でコラージュがしてあるもので、見ているだけでうっとりとする絵本です。
1ページが1枚の作品としても成り立つような、眺めているだけでも楽しくなる、すてきな絵本です。
他の作品も探して読んでみたいと思います。


おひさまパン

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