/ダンス・ダンス・ダンス ”五反田君にふるまう酒のつまみ”


風の歌を聴け」、「1973年のピンボール」、「羊をめぐる冒険」の
鼠三部作の続編、「ダンス・ダンス・ダンス」。
ユキと行くハワイのシーンがとても好きだけれど
五反田君と一緒にお酒を飲むシーンも、とてもおいしそう。
特に僕が作るお料理はなんだか自分でもできそうだけど
ちょっと思いつかない食材の取り合わせで
いつか自分でも作ってみようと思っていたのでした。

「もっと何かつまみを作ろう」と僕は言った。
「迷惑じゃないかな?」
「迷惑じゃない。簡単だよ。あっという間だ。大したものはないけど、酒のつまみ程度なら作れるだろう」
「隣で見てていいかな」
「もちろん」と僕は言った。
 僕は長葱と梅肉のあえものを作ってかつおぶしをかけ、わかめと海老の酢のものを作り、わさび漬けと大根おろしに細かく切ったはんぺんをからめ、オリーブ・オイルとにんにくと少量のサラミを使ってせん切りにしたじゃが芋を炒めた。



長葱と梅肉のあえもの。
長葱は軽くフライパンで焼き目をつけると、辛みを抑え目に。
梅肉だけでもいいのかもしれないけれど、少し白だしを追加してみました。
さっぱりと美味しいです。



わかめと海老の酢のもの。
実はボイルした海老が苦手なので、ううん…やっぱりたこの方が好きかも。
それか、ボイルしなくていい生で食べられる海老で作った方が
なんだかお客様用という感じでいいかもしれないな、と思います。
でもそうしたら、間違いなく、飲むお酒は日本酒でしょう。



わさび漬けと大根おろしを合えたはんぺん。
これは意外な取り合わせで、作る前からおいしそうだなあと思っていたおつまみ。
わさび漬けだけだと濃すぎる味が、大根おろしを入れると
はんぺんにちょうど良くあって、これは大人のおつまみになります。
わさび漬け、好き嫌いがわかれますけど、わたしは結構好きです。
食べるときにお醤油をちょこっとたらしたほうが、美味しいかも。お好みで。



サラミとじゃが芋のオリーブ・オイル炒め。
サラミはそのまま食べるものと思っていたけど、炒めても美味しいです。
じゃが芋となんて、合わないはずがないです。
オリーブ・オイルでしゃきっと炒めたじゃが芋とサラミに
塩気が足りなければ、ほんのちょっと塩を足して胡椒を振るだけ。
ベーコンとじゃが芋ならよくやる取り合わせだけど
サラミすることで、つまみ度がアップします。
おかずじゃなくて、おつまみですね。


これだけでも十分と思うのだけれど
そのほかにも、僕は五反田君におつまみを振る舞っています。

胡瓜を細かく刻んで即席の漬け物を作った。昨日作ったひじきの煮物も残っていたし、豆腐もあった。薬味にはたっぷりと生姜をつかった。
「素晴らしい」と五反田君は溜め息をついて言った。「天才的だ」


友だちの家で飲んでいて、こんなにたくさん手づくりのおつまみができたら
五反田君でなくても、「天才的だ」と溜め息が出てしまいますよね。


これらをつまみながら、彼らは黒ビールとカティ・サークを飲むのだけど
わたしは、ウイスキーより、日本酒や焼酎が似あうおつまみだな、と思ってしまいます。
でも村上作品で日本酒や焼酎って、ちょっと気分じゃないですよね。

ダンス・ダンス・ダンス(下)

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