あつあつを召し上がれ/小川糸 ”親父のぶたばら飯”


ずいぶんひさしぶりの更新になってしまいました。
今回は小川糸さんの「あつあつを召し上がれ」から
ぶたばら飯です。


小川糸さんといえば、やっぱり「食堂かたつむり」が有名ですよね。
以前ジュテームスープとか、洋ナシのサンドイッチを作りました。
他の小説でも、お料理がテーマの小説でなくても
日々の生活の食事のシーンがとても印象に残ります。
「あつあつを召し上がれ」は、タイトルからもわかる通り
料理がテーマになっている7篇の短編集です。
「親父のぶたばら飯」は恋人同士のふたりが
彼の子どもの頃からなじみの中華街にあるお店で
彼のお父さんが大好きだったぶたばら飯を一緒に食べるお話。

「これが、親父がこよなく愛したぶたばら飯だよ。家族で海外に暮らしてた時も、ぶたばら飯が食いてぇ食いてぇって我がまま言って、お袋が困ってた。うちのお袋も料理の腕はプロ級なんだけど、ここのは絶対に真似できないって」
 ふかひれのスープ同様、こちらも大きなどんぶりに山盛りだ。知らないで一人一つずつ頼んだら、大変なことになってしまう。また、恋人がよそってくれた。白いご飯の上に、煮込んだぶたばらと熱い葛あん、色を添える程度に小松菜がのっている。(p.42)


大盛りの白いご飯に、豚ばらに葛あん。絶対においしそう。

ご飯粒にはしっかりとした弾力があり、何か独特な香辛料の効いたあんが絡まっていて、唯一無二の味になっていた。ご飯にあんをかけただけだって、もう十分ご馳走なのに、メインのぶたばらと言ったら……。世の中に、こんなに美味しい物があったのだろうか。大きな固まりなのに、レンゲでスーッと切れるほど柔らかく煮込んである。肉の繊維の一本一本にまで味が染み渡っていて、食べ物というより、芸術作品を口に含んでいるようだった。食べていると、とても優雅な気持ちになってくる。(p.43)


豚バラは大きな固まりで、あんは葛あん。
中華料理の独特な香辛料といったらやっぱり八角とか花椒なのかな。
そしてレンゲですっと切れるくらいに柔らかく煮込む。
色みを添えるための小松菜。こんなイメージで作ってみました。ぶたばら飯。


まず、豚バラをより柔らかくするために、2日ほど塩麹に漬けて冷蔵庫で寝かせます。
そして、ネギの青い部分と生姜で豚バラを茹でます。とりあえず1時間くらい。



茹で汁は豚バラを煮込むときにも使うので、漉してとっておきます。
付け合わせのスープにも使ってしまおう。
豚バラは大きな固まりになるように、切り分けます。
わたしは厚さ1センチくらいの細長い固まりになるようにカット。
茹で汁と調味料を入れてゆっくり煮込みます。
参考までに調味料の分量は、茹で汁はお肉がすっかるかぶるくらい。
煮詰まりそうになったら足しながら。
醤油大さじ3、オイスターソース大さじ1.5、砂糖大さじ2.5、
お酒150cc、生姜ひとかけ、にんにくひとかけ、八角1片、花椒15粒くらい。



今回は独特な香辛料としての、八角がポイントかと。
かなり独特な香りがするので好きと嫌いが分かれるかもしれないです。
調味料も、味見をしながら足したりしたので
きちんとしたレシピではないので、お好みで調整してみてください。
ほんと、いつも適当に作ってしまうんですよね。


ことことと煮込んでお肉の繊維がほろりとするくらいになったら
葛でとろみをつけます。お料理で葛あんを使うってほとんどないです。
だいたいとろみをつけるときは片栗粉、それかコーンスターチ
葛って高いし。でも葛あんのとろみってドロっとしないので
優しいというか、上品なとろみになります。
小松菜は煮込まず、ごま油であっさり炒めて、炊きたてのご飯にのせます。
その上から、豚バラと葛あんをたっぷりのせて出来上がり。



大きな器にどんっと盛り付けて、レンゲで取り分けて食べました。
ざくっとしたお肉の繊維がほろっととろけて
葛あんとごはんが絡んで、もくもくと食べ続けてしまうおいしさ。
下茹でをしっかりとしたので、豚バラも脂がいい感じに落ちて
くどくなく、ついついたくさん食べすぎてしまいます。



ちなみにスープは豚肉の茹で汁少しとお水を足して、
塩と少々のごま油風味をつけただけのわかめとネギのスープ。
メインががっつりなので、あっさりめに。
それと、鶏ガラスープでくたくたになるまで煮ただけのネギに
からしマヨネーズを添えた付け合わせ。
以前「きのう何食べた?」で作ったネギのコンソメ煮の中華アレンジです。
普段の食事で、中華料理といえば餃子くらいしか作らないけれど
こういうあんかけご飯とか、もっと作ってみようかな。


これからまた、定期的に更新していきたいなと思っていますので
どうぞよろしくお願いします。


あつあつを召し上がれ

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