/ねじまき鳥クロニクル ”牛肉とピーマンの炒めもの”

ねじまき鳥クロニクルで、失業中の主人公が、妻の帰宅を待ちながら作る料理です。
ねじまき鳥といえば、冒頭のスパゲティかもしれませんが、今日は使ってしまいたい牛肉があったので
春樹さんにはめずらしく、なんだか凝っていない男の料理、という一品を。

僕はクミコが帰ってきたらすぐに料理にとりかかれるように支度を整えていた。たいした料理ではない。薄切りの牛肉と、玉葱とピーマンともやしを中華鍋で強火で一緒に炒め、塩と胡椒を振り、醤油をかける。そして最後にビールをさっとかける。一人暮らしをしているときによく作った。


ただの、牛肉の入った野菜炒めですね。
強いていうなら、ビールをさっとかけるのがこだわりといえばこだわりのようです。
というわけで、今回はビールを飲みながらお料理スタート。



はい、乾杯☆
わたしは星のマークが好きで、大体サッポロビールを買ってしまいます。

えーと、ピーマン、玉葱は薄く切って、薄切りの牛肉は食べやすい大きさに切る。
にんにくをみじん切りにして入れました。
味付けは塩コショウ、お醤油だけ。最後に飲んでいたビールをジャッと入れて完成です。



ええと・・・結論から言えば失敗ですね・・・。
強火で炒めるお料理だというのに、のんきにビールを飲みながら、なおかつ写真もとりながらで
しっかり焦がしてしまった・・・。見た目、あんまりおいしくなさそう。
実は、炒め物がなんだか苦手なんです。
おまけに、ビールで気分がよくなっていたのでしょう。
いくぶん焦げてはいますが、普通に美味しく頂きました。ビールに合います。
でも、ご想像どおり、ビールを入れた効果はまったくもってわかりません。日本酒でもなんでもいいんでしょう。


つまりは飲みながらお料理をしていて、手に持っていたビールを入れてみた、
あるいは、ビールを飲んでいたら、なんだか小腹が空いてきて、簡単にありものでつまみを作ってみた
というようなノリで考案されたメニューなのでしょう。
いずれにしても、村上流に作るのならば、ビールを飲みながら、そして
飲んでいるビールをフライパンに入れる、が正しいレシピではないでしょうか。


それにしても、身も蓋もないのがこの続きで、この後、帰宅したクミコに料理を作るのですが


「それからひとつついでに言わせてもらえるなら」と彼女は言った。「私は牛肉とピーマンを一緒に炒めるのが大嫌いなの。それは知ってた?」
「知らなかった」
「とにかく嫌いなのよ。理由は訊かないで。何故かはわからないけれど、その二つが鍋の中で一緒に炒められるときの匂いが我慢できないの」
「君はこの六年間、一度も牛肉とピーマンを一緒に炒めなかったのかな?」
彼女は首を振った。「ピーマンのサラダは食べる。牛肉と玉葱は一緒に炒める。でも牛肉とピーマンを痛めたことは一度もないわ」
「やれやれ」と僕は言った。


その後、哀れなピーマンと牛肉はゴミ箱行きとなってしまいました。やれやれ。


おいしいのにな。


ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)

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